
2025.06.09
NBAのポストシーズンも、いよいよ最後のステージとなった。八村塁が所属するロサンゼルス・レイカーズは、第1ラウンドでミネソタ・ティンバーウルブズに敗れたが、八村は同5試合で1試合平均14.8得点4.6リバウンドをマーク。最後の2戦はともに5本の3ポイントを成功させて23得点をあげた。このシリーズでの3ポイント成功率48.4パーセント(15/31)は、プレーオフの順位で、NBAファイナル前の時点で6位に位置している。
昨夏はお互いパリオリンピックに出場していたものの、レブロン・ジェームズと一昨夏に続き練習をともにし、「今季は、証明するべきシーズン。そろそろNBAの一番上のチャンピオンシップっていうところが見たい」と臨んだシーズンだった。悔いの残る結果となってしまったが、JJ・レディックHCが、「塁は攻防両面において、チームを繋げる存在。彼が欠場した時は、彼の存在がどれだけ大きいかが明らかだった」と話すほど、爪痕を残した。
全米のみならず世界中から注目を浴びるレイカーズという人気球団で、ジェームズ、シーズン途中にトレードで加入したルカ・ドンチッチというスーパースターと肩を並べ、NBA6年目をさらに希望が湧くかたちで終わらせた八村。そんな姿を頼もしく見つめていたのが、今シーズンからレイカーズのアシスタントコーチとなったスコット・ブルックスだ。2019年のNBAドラフトで八村がワシントン・ウィザーズに1巡目全体の9位で指名されたときの同チームのヘッドコーチで、キャリア最初の2年をともにした。
ドラフト上位指名でも将来の活躍が約束されたわけではないNBAという厳しい世界で、八村が“オールルーキーセカンドチーム”に選ばれて、キャリアの好スタートを切ったのも、当時のブルックスHCからの信頼が厚かったことが大きく、八村も「僕をドラフトしてくれ、ずっと使ってくれた。僕にとっては思い入れのある、いい関係を築けたコーチ」と話していた。
NBA入りした八村を積極的に起用したのが当時ヘッドコーチだったブルックス(左)だった [写真]=Getty Images
今は指揮官ではないものの、レイカーズでアシスタントコーチと選手として再度同じ目標に向かって歩むことになった二人。ともに過ごした今レギュラーシーズン終盤の4月2日、ブルックスコーチに話を聞いた。
――ウィザーズにいたNBA1~2年目とレイカーズで自己6年目の終盤を迎えた八村の違いについて聞かせてください。
ブルックス 彼がルーキーだったとき、最初に気づいたことは、あのときのウィザーズは育成過程のチームだった中、塁には勝者としての特質があったということだ。まだ若かったが、彼は勝つことが当たり前の選手だった。
そして、6年経った今、これまでの経験により、いかに彼が成長したかがよくわかる。ゲームの感覚が以前以上に良くなっているし、NBAというものをより理解している。特にシューティングにおいては、ウィザーズにいたときから大きく成長していると言っていいだろう。
現在、レイカーズのアシスタントコーチを務めるブルックス [写真]=Getty Images
私が彼のヘッドコーチだったとき、彼は17~18フィート(5.2~5.5メートル)からのシュートが得意だった。でも今は3ポイントを進んで打っていて、彼が3ポイントを決めればチームのためにもなるし、彼のより一層の自信にもつながっている。またディフェンス面においては、さらに強くなったことが効果を成している。それに塁はとても優れたアスリートだ。1番(ポイントガード)から5番(センター)まですべてを守ることができる。そういうことができる選手は、そういない。
あと最も言っておきたいことは、彼のNBAキャリア最初の数年間は、非常に大きなプレッシャーがかかっていたということだ。日本中が彼を応援していて、正直、私自身もプレッシャーだった。でも彼はそのプレッシャーを乗り越えた。
またブラッドリー・ビール(現フェニックス・サンズ)やラッセル・ウェストブルック(現デンバー・ナゲッツ)とともにプレーしたことは、さらなるプレッシャーだった。なぜなら、彼らは塁に多くを求めたからだ。塁はまだ若く経験も浅かったが、それらにもしっかりと応えた。そして今はレブロン(ジェームズ)というリーグのスーパースターと一緒にプレーするというプレッシャーにもすっかり慣れている。塁は、たとえ厳しくされても、怒鳴られることがあっても、落ち込むことなく求められたことをしっかりやりこなすことができる。彼は、自らのバスケットボール選手としての仕事は一貫性を保つことだとわかっているからだ。
――NBAキャリアを始めたばかりのときの八村は、チームの1番手になることや看板選手になることを夢見ていたかも知れませんが、今では素晴らしいロールプレーヤーとなっています。
ブルックス 優れたNBAチームになるには、何人かのスーパースターがいなくてはならず、レイカーズには、そのスーパースターがいる。そしてロールプレーヤーにおけるスーパースターも必要で、塁がそのスーパースターだ。
彼は攻防両面で自分がこのチームにとって、どれほど重要な選手であるかを認識している。非常に多才で、小さな選手につかれたときはローポストで得点し、大きな選手にガードされたときは3ポイントを打つことができる。そして、先ほども言ったようにディフェンスでは、1番から5番までを守れるという自らの強みをわかっている。自信を持って自らの能力を活用し、勝利にインパクトを与えている。
若かったときの塁は、自分がどれほどいい選手なのかをまだ学んでいたし、把握しようとしていた。あのときもそういうことができる選手だったが、今ほどの自信を持っていなかった。私は、「塁、君にはこういうことができるんだ」と言っていたが、彼はキャリアはじめのころ、自分がどうフィットするかわかっていなかった。でも今は、よく適応している。いいNBA選手になるためには、コーチングと同じように自分のチームにうまく適応できなければならないし、チームメートになじまなければならない。それがしっかりできている。
積極的に3ポイントを打つようになったとブルックス [写真]=Getty Images
――ウィザーズに所属していた1~2年目から現在に至るまで、最も成長したと思うのは、どういう面でしょうか?
ブルックス まず3ポイントシュートは、彼の最大の成長点だ。先ほども言ったように、彼は以前3ポイントを打つことを進んでしていなかった。彼の持ち味ではなかったからね。でも今は自信を持って3ポイントを打っている。時には1試合に8~9本、または10本打っている。そして高い確率で決めている。
あとボールハンドリングも上手くなった。塁は(ゴンザガ)大学のときもワシントン(ウィザーズ)の最初のころもドリブラーではなかった。でも今はボールを運んでオフェンスを開始することができる。ボールハンドリング――それが、彼が最も伸びたもう一つの面だ。
――あなたは昨季までの3シーズン、ポートランド・トレイルブレイザーズのアシスタントコーチでしたが、八村に対する選手へのアドバイスをどのようにしていましたか?
ブルックス できるだけ塁がプレーしにくいようにしろと言っていた。だが、うまくいかないことも多かった。アグレッシブに立ち向かい、プレッシャーをかけてもアジャストされていた。
塁は、私が指揮していた時は若い大人だったが、今は力強くなり、成熟している。
英語においてもそうだ。それも彼がさらに向上した面だ。アメリカのコーチの意図していることをしっかり把握している。アメリカのコーチは時々断片的に話す。スポーツの世界で聞き慣れていることを言いたくないからだ。塁はそういうこともちゃんと理解していて、それが彼の成功の大部分を占めている。
――JJ・レディックHCは八村のことをとても信用していますが、最初はどのようなことをあなたから知りたがっていましたか?
ブルックス 彼は、試合で最高の塁を引き出すためにどのように指導すればいいかを知りたがっていた。そして、その要点は、塁には厳しく指導ができるし、彼をムッとさせるようなことや、彼が好まないことをすることもできるということ。塁は絶対に怯まないからね。より良い選手になってほしいからやっているんだということを彼はわかっている。そして、しっかりと応えてくれる。JJは塁のプレーをとてもリスペクトしているし、塁がチームにとってどれほど重要な選手かもわかっている。このチームが(NBA)ファイナルで勝ちたければ、塁が大きな役割を果たさなければならなくなるだろう。
レイカーズは、今シーズンNBAファイナルに進出して勝つという目標を果たすことができなかった。このオフは、有能なセンターを獲得するために選手をある程度入れ替えることも予想され、いい選手を得ようとすればするほど価値のある選手を引き換えに出さなければならず、八村保持を諦めざるを得ないこともあるかも知れない。
ただわかっていることは、どのチームでプレーしようとも、八村は自らの役割においてのスーパースターになれるよう努力を続けるということだ。
文=山脇明子
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